イベント
日本生物学オリンピック2010つくば大会では、試験だけでなく、研究の現場に入って最先端の生物学研究を体験し、つくば市内の研究機関等を見学し科学を学び、生物学を研究している先輩たちの話を聞き、そして生物学に対する志を抱いている参加者同士の交流を深めるなど、様々な企画を準備しています。
サイエンスカフェ(8月20日)
飲み物を飲みながらくつろいだ雰囲気で、筑波大学生物学類の先生から、最先端の生物研究のお話を伺います。今回の講師は中田和人先生で、大規模欠失突然変異mtDNAを導入したミトコンドリア病モデルマウスを用いてミトコンドリアの機能を研究されています。
エクスカーション(小旅行)
つくばエキスポセンター(8月20日)
1985年に行われたつくば科学万博の恒久記念施設としてつくられた科学館です。宇宙、海洋、生命といった科学技術について幅広く紹介しており、体験型の展示物も多数あります。
サイバーダイン社(8月21日)
筑波大学の山海嘉之教授により開発されたモビルスーツ(パワードスーツ、ロボットスーツ)技術に関連する研究開発、製造、販売、保守管理を行っています。重労働補助や、身体機能喪失者の行動補助などを目的としたロボットスーツ「HAL」が有名です。
筑波実験植物園(8月21日)
筑波実験植物園は「国立科学博物館」の分館で、植物を研究するための機関です。広大な敷地に温室がならび、世界各地に生育する植物が栽培されています。
※サイバーダイン社と筑波実験植物園についてはいずれかの選択となります。
最先端研究体験 8月21日 - 22日
最先端研究体験では、数名ずつのグループに分かれて筑波大学生物学類の研究室を訪問し、実際の研究を体験します。このページには、研究体験をすることができる研究室をリストにしています。
細胞生物学(中野 賢太郎 先生)「細胞骨格をみてみよう」
筋肉の主要成分であるアクチンやミオシンは、ほとんど全ての細胞で発現していて、細胞の分裂や細胞内の物質輸送などに大切な働きをしています。これらが形成する細胞骨格の働きについて、分裂酵母の突然変異株やGFP発現株を用いて調べます。また余裕があれば、繊毛虫のテトラヒメナも観察してみたいと思います。顕微鏡観察に興味がある方、大歓迎です。
化学生物学(臼井 健郎 先生)「薬剤(抗がん剤など)の作用を観察しよう」
私たちの健康を守るため、これまでに数多くの薬が開発されています。今回は微小管系に作用する抗がん剤などを用いて、これらの薬剤が動物細胞にどのような作用を与え、その結果、どのようにがん細胞を死滅させているのかを観察します。
分子細胞生物学(千葉 智樹 先生、鶴田 文憲 先生)「選択的タンパク質分解による生体機能制御」
私たちの体を構成するタンパク質は、常に動的な「合成」と「分解」を繰り返し、生体機能を調節しています。この研究体験では、「分解」を調節 するタンパク質やオルガネラが細胞内でどのように挙動しているか、緑色蛍光タンパク質(GFP)を融合したタンパク質を培養細胞に発現させ て、その動きを蛍光顕微鏡で観察します。
分子生物学(谷本 啓司 先生)「マウス・ゲノムとエピジェネティクス」
マウスのゲノムDNA PCRや大腸菌プラスミドDNAの制限酵素処理など、基礎的な実験とその解釈を通して、ゲノム情報生物学におけるジェネティクスとエピジェネティクスの意味について考察します。
水圏生態学(濱 健夫 先生)「水の生態学~一次生産者を見てみよう!~」
海・河川・湖などの水域に生息し、光合成を行うことにより物質循環を支える一次生産者には、植物プランクトンや海藻がいます。今回は、色素によって群集組成を識別するフローサイトメトリーを使って、これら一次生産者の多様性を見てみます。
ゲノム生物学(漆原 秀子 先生、桑山 秀一 先生)「細胞性粘菌を使ったアメーバ運動と形態形成過程の観察 」
この研究体験では、単細胞アメーバでありながら多細胞体を構築してしまう細胞性粘菌を高性能顕微鏡を利用して観察します。アメーバが動いている様子を動画撮影したり、単細胞からの多細胞を形成過程を自分の目で見ることにより、生きている細胞がどんなものかを体感してもらうことを目的とします。
進化遺伝学(澤村 京一 先生)「分子マーカーを用いたショウジョウバエの同定」
ショウジョウバエの近縁種を形態観察によって同定します。また、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子のDNAをPCRによって増幅し、制限酵素による断片長多型を調べることによって、分子レベルで同定結果を確認します。
植物分子生理学(鈴木 石根 先生)「光合成の活性をカメラで見る」
我々の生活は、植物の光合成により作られる有機物と酸素に依存している。光合成反応は、光エネルギーを受けてATPと還元力に変換する光リン酸化反応によって駆動される。蛍光を測定するカメラ(FluorCam)を用いて、光リン酸化活性を測定し、環境条件や除草剤による影響を観察します。
植物生理学(古川 純 先生、岩井 宏暁 先生、佐藤 忍 先生)「毒性アルミニウムに対する植物の防御」
酸性化した土壌ではアルミニウムイオンが植物の生育を妨げています。アルミニウムのストレスに対して耐性や感受性を示すコムギを用いて、耐性品種の防御機構である細胞外へのリンゴ酸分泌とそれによる障害の緩和について調べてみましょう。
微生物学(桑原 朋彦 先生)「CO2→CH4反応によりエネルギーを得るメタン菌」
無機物を有機物にする反応でエネルギーが得られるって,逆じゃないの?と思ったあなた,正しく高校の化学/生物学を学習しています。しかし,メタン菌にはそれができるのです。メタン菌の単独培養および発酵細菌との共培養による水素共役栄養共生について学びます。
好熱性発酵細菌Thermosipho globiformansとメタン菌 Methanocaldococcus jannaschiiとの水素共役栄養共生におけるコンソーシアム 形成の写真。同じ被写体を異なる方法で観察したもので,バーは 10 µm。
植物系統分類進化学(井上 勲 先生、石田 健一郎 先生、中山 剛 先生)「微細藻類をみてみよう!」
シアノバクテリアが獲得した酸素発生形光合成という機能は、共生によって真核生物にも受け継がれ、さらに真核生物同士の共生によってさ まざまな藻類が誕生しました。海や池の中には、そうして生まれたさまざまな藻類が生きています。今回は、光学顕微鏡や蛍光顕微鏡、電子 顕微鏡を使ってさまざまな微細藻類を観察したいと思います。
植物寄生菌学(山岡 裕一 先生)「植物寄生菌の採集と観察」
菌類は、分解者として腐生生活しているだけでなく、他の生物と共生して生活するものも多数存在します。今回は、植物に寄生して病気を起こす菌類や相利共生して菌根を形成する菌類を採集し、光学顕微鏡による形態観察してみましょう。
神経生物学(千葉 親文 先生)「イモリの再生観察」
イモリは再生のチャンピオンと呼ばれています。再生生物学研究の現場を体感する目的で、イモリの再生を誘導する外科手術を体験したり、凍結切片をつくって再生芽や再生途中の組織を実際に観察してみましょう。
応用昆虫学(戒能 洋一 先生)「昆虫の性フェロモンと行動」
夜行性の昆虫がフェロモンで交信することは知られているが、目の前でその行動を見ることは難しい。そこで昼夜を逆転して飼育し、真夜中のガの行動を実験室で見てみよう。そして、風を流した風洞で性フェロモン源に向かって飛ぶ雄ガの様子を観察してみよう。
微生物育種工学(橋本 義輝 先生)「微生物からのDNAの抽出」
現代の生物学では、ほとんど全ての分野で生命現象を分子を使って理解する分子生物学的手法が用いられている。最も身近な微生物から最先端の方法を用いて、分子生物学の幕開けともなったDNAを抽出する。生物の設計図である染色体DNAが紫外線を吸収するという性質を利用し、分光光度計を用い、抽出したDNAの量を測定する。
微生物ゲノム生物学(中村 幸治 先生)「遺伝子を見てみよう」
全ゲノムの情報が解読された生物について、現在、どのような研究がされているかを講義形式で行う。また、ヒトの爪、毛髪の毛根部、毛髪の毛幹部を試料とし、DNA 抽出を行い、PCRにより、遺伝子を増幅する。
発生生物学(丹羽 隆介 先生)「生物の形づくりに必要な遺伝子の発現を目で見てみよう」
多細胞生物が卵から適切に形作られるためには、様々な遺伝子が決まった時期に決まった場所で発現することが必須です。モデル生物であるショウジョウバエと線虫を材料として、体を作り上げるために必要な遺伝子がいつどこで発現しているのか、分子生物学の手法を用いて観察してみましょう。
理論生態学(徳永 幸彦 先生)「計算する生命」
意外なことに、コンピュータープログラムと生命体は、実は双子の関係にあります。この不思議なめぐり合わせを、コンピューターシミュレーションを駆使した実習を通して体感してもらいます。