JBO本選出場者インタビュー:髙橋航さん

※所属・学年は、2022年1月の取材日現在のものです

髙橋航さん
所属:
筑波大学生物学類3年
出身:
山形県立鶴岡南高等学校
出場:
JBO2018 東京

Q:今は何をしていますか?

今は筑波大学生物学類の3年生で、来年から卒業研究が始まるんのですが、原生生物の多様性や系統分類などの研究をしようと思っているので、顕微鏡をひたすら覗くことになると思います。
サークル活動などについては、高校生の頃に情報オリンピックに参加したことがあったことがあるので、その延長で趣味で競技プログラミングをやっていて、サークルもそういったものに入りました。

Q:JBOをどうやって知りましたか?

数学オリンピックが有名なので知っていて、高校1、2、3年のときに出場したのですが、他にも何かオリンピックに出たいと思って調べたら検索でJBOがヒットして、そこで知りました。
高1は数学オリンピックに出て予選落ち、高2年の時は数学オリンピックと情報オリンピックと地理オリンピックの3つに出て3つ全部予選をしました。数学オリンピックでメダルを取りたかったのですが、どうやら無理そうだということで、色々受けてみようと思って高校3年のときにで物理チャレンジ、化学グランプリ、生物学オリンピック、地理、地学、情報、数学、ひと通り出て、生物以外は予選落ちしました。笑
生物学オリンピックはどちらかと言うと思考力を重視される傾向にあると思うのですが、数学は思考力は当然のように要求されてそのうえで発想力の方を重視するような傾向にあって、数学と情報は「天才以外お断り」のパズルコンテストの様相だというイメージを持っています。

Q:JBOに挑戦したのはいつですか?

生物学オリンピックは高校3年生の時に参加して、初参加で2018年のJBO本選 東京大会にも出場しました。

Q:どんな勉強をいつからしましたか?

高校時代は物理化学の選択だったので、生物基礎を高校1年生の時にやっていた程度だったのですが、高2年の冬に同じ物理選択だった友達が間違えて買った生物の教科書を貰い受けて、学校で使っている教科書、資料集と問題集のものをその冬からやり始めました。
勉強方法としては、教科書の1章分を通し読みしてその後で学校で配られているワークを解くという方法で、予選の直前にあたる高校3年の7月に教科書は高校の範囲を一冊読み終えて、過去問は直前の年の問題を、時間は計らずにどんな問題が出るのかなという確認の意味で一通りやりました。
数学オリンピックの勉強を2年間やっていたので、思考力に関してはその過程十分に勉強してあり、あとは生物の知識を入れるだけだったのだと思います。ですので「考える問題が解けない」と思ったら、ひょっとしたら数学オリンピックや物理チャレンジの過去問を解いてみると良いかもしれません。そういう経験の土台があるか無いかは大きいと思います。
勉強していて分からない箇所は資料集(スクエア最新図説生物NEO)を開いていました。これはおそらく、隅々まで読み込めば本当に生物学オリンピック本選レベルでも対応できるだけでなく、所々キャンベルより詳しく書いてような箇所もあると思います。推薦図書にキャンベル生物学とありますが、あの分厚い教科書を使って勉強して受けるのは日本代表まで残りたい人だけだと思います。笑
もし資料集で足りなければネット検索が有用でした。例えば日本植物生理学会のホームページに「みんなのひろば」というコーナーがあり、そこに詳しく書いてあるので、植物生理学系のことで分からなかったら日本植物生理学会のホームページを確認していました。
僕は物理化学選択だったので高校の先生に聞くことができず、分からないところがあったら自力で解決するしかなかったので、そういう勉強法になりました。
部活は科学部に所属していていたので、実験データを見て考察するということに取り組んでいたことも大きいかもしれません。チームでテーマを1つ決めて研究活動をする伝統ある部活で、物理班では力学系の、球を転がすような研究をやって学生科学賞の山形県大会で最優秀賞も受賞しました。

Q:周りにもJBO受験者はいましたか?

友達を何人か誘ったのですが、誰も受けてくれなかったので(笑)僕の代では一人だけでした。

Q:受験勉強との両立はどうしましたか?

受験勉強は正直何も考えていませんでした。笑
数学と理科はできたのですが、国語と英語が致命的にできなくて、勉強してもこれ以上は理系科目を伸ばすのは無理だと思ったのですが、文系科目の勉強はやりたくなくて、それでも入れる大学を狙おうと思って受験しました。
オリンピックの直前に東北大オープン模試も受けたのですが、数学と生物と物理はそこそこできたのに、英語が全くできず、100点満点中8点でしたが(笑)それでも理学部はA判定を取れたので、もう英語はやらなくていいやと。このままでいけるって思ってしまいました。
今でも英語は苦手で、論文を読むのもGoogle翻訳に結構頼ることが多いです。

Q:大学進学(推薦入試、AOなど)に役立ちましたか?

役に立ちました。筑波大学には国際科学オリンピック特別入試というもので入学しました。これはズバリ生物学オリンピックの成績を使う入試方式で、志望理由書と生物学オリンピックの点数のコピーと面接だけで入れるという、実質的に生物一教科で国立大に入る方法があって、それを使って入りました。この方法で入学した同期は僕の他にもう2人います。

Q:JBO本選の成績はどうでしたか?

銅メダルでした。上位40人までメダルを貰える中の、ちょうど40位で銅メダルもらいました。ギリギリセーフです。笑

Q:大学受験(筆記試験)に役立ちましたか?

筆記試験は受けていないので確かなことは言えませんが、生物学オリンピックの受験によって明らかに生物の力は伸びた感覚はありました。

Q:JBOに挑戦して良かったことは何ですか?

当然ながら生物の力が身に付いたことは大きいと思いますが、それだけではなく、生物学オリンピックを通して友人が何人もでき、また大学で同じオリンピック入試の友人が
いるというのはありがたいですし、地方の高校だとそういった本当に頭の良い人と関わる機会はあんまり無いのですが、そういう環境の中ではかなり刺激になったと思います。

Q:現役挑戦者へのエール!

とりあえずチャレンジすることは大事だと思います。何回も予選落ちした経験から言えることは、①教科書の、出題範囲を全て終わらせずに受ける。②過去問を、時間を測って解かずに受ける。この二つのどっちかをやると確実に予選落ちするので、やめた方がいいと思います。
数学でもなんでも、一通りはやって、挑戦するべきだとおもいます。僕は高校で物理をやっているし、部活でもやっているから大丈夫だろうと思って受けたら電磁気の分野の理解が甘く、そこで点を取れなくて予選で落ちましたし、化学の方は時間を計らないと到底間に合わない分量なのですが、時間配分を考えずに受けたらあっさり落ちました。
そういう過去があるので、過去問を時間を計って解くこと、出題範囲を一通り押さえること、この2つをやらずに予選を突破するのは難しいと思います。

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