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生物学オリンピックを目指す若者へのエール

科学者にとって大切なこと 下村 脩(ウッズホール海洋生物学研究所)

写真:下村 脩

 これからの生命科学を切り拓いていく日本の中学・高校生のみなさんに、ノーベル賞を受賞しましたときに私の胸に去来した想いをこめてメッセージを送ります。
 私は紫外光をあてると緑色の強い蛍光を発するGreen Fluorescent Protein (GFP)をオワンクラゲから発見しました。そのために採集したクラゲは、19年間にわたり850,000個体にもおよびます。私の人生における最も強烈な光は、16歳の中校生のときに長崎に投下された原爆の閃光です。私はその光を爆心地から15kmの勤労動員先で受けました。科学の研究を始めたときからは、生物の放つ光に魅了され、ずっとこのテーマに取り組んできました。
 私がGFPを発見したときには、実用的な意義はなにもありませんでした。私はなぜクラゲが光るのか、なぜこのタンパクが蛍光をはなつのかをただただ理解しようと研究をつづけました。GFPの遺伝子を組み込むことにより、生きた生物体のなかで特定の遺伝子の発現を調べるという「実用」的な意義が見いだされ、広範な生命科学の実験に用いられるようになったのは、発見からずっと後のことです。若い人たちが研究するときに、結論が初めからおよそわかるようなテーマをえり好みしたり、「応用」という報酬がほのかに見えるテーマに傾いてしまうことがあるのを私は心配しています。
 実験では、いろいろな仮説をたてて試すこと、そして意味のあることは些細なことでも見逃さない能力が求められます。生物学オリンピックをめざす若い人たちには、自分が興味をもったテーマを、とことんつきつめてもらいたいと思います。よい研究題材の解明には、往々にして大きな困難をともないます。成功するためには、へこたれずにこの困難を突破してください。決してあきらめてはいけません。


アンテナを張る 田中 耕一 (島津製作所)

 田中耕一先生(2002年ノーベル化学賞受賞者)が登場する電子情報通信学会誌に掲載された対談(PDF形式:外部サイト)には、生物チャレンジ・オリンピックをめざす若者たちに参考になる意見が述べられています。
 その対談のなかでは、異なる分野の研究者との交流やチームワークがそれぞれの個の良さをいかすためにも重要であること、見えないものを見えるようにすることはとても面白く、失敗も発明にかえるようないろいろな視点を持つことの大切さや、いろいろな人たちに説明し伝える力をもちディスカッションすることで新しいことをおもいつくこと、若い人たちが挑戦しがいのある分からないことはたくさんあるのだといったことが述べられています。

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