「国際生物学オリンピックに参加して」
慶応義塾大学・医学部・1年 山川 眞以 さん
国際生物学オリンピック2009年大会銀メダリスト (桜蔭高等学校 出身)
あれから1年が経とうとしています。忘れもしない、高校3年の夏。私は第20 回国際生物学オリンピックつくば大会に出場しました。
国内1次予選では全国各地でマーク試験を行い、80人が2次予選に進みました。 2次は筑波大学で実験試験が行われますが、試験だけでなく出場者同士、大学生と高校生との交流も盛んに行われます。ここで15名が選ばれ、国際大会もか くやと言うほどの難問に立ち向かい、日本代表4名及び次点者2名が選出されま した。
科学オリンピックに出場することの利点は大きく3つに分けられます。第一に、全国津々浦々に共通の興味を持つ友人を作れることです。中には大学生になっても連絡をとりあい、別の場所で再会する人もいます。医学部に進学して も、生物学科や化学科、果ては文学部に進学した友人はとても刺激になります し、将来研究で協力し合うことができたらこれほど素敵なことはありません。
第二に、最先端をいく講師陣から、熱意溢れる講義を受けられることです。 高校生にそのような機会は滅多にないので、国内予選に参加するだけでも大きな意義があります。
第三に、決して諦めないという強い意志の力が身につくことです。プレッシャーや学習の進まなさに何度も挫けかけましたが、自分に負けたくない、また それ以上に、共に闘ってきた友人の期待を裏切りたくないという思いから、何 とか国際大会を迎えることができました。これは受験一辺倒の生活を送っていたら決して得られなかった感慨だと思います。
私は今、医学部で医師になる勉強をしています。将来はこの多彩な人脈を生かして、様々な分野の融合を用いて医学界に貢献したいです。他の人にはないこの特性を得られたのは、とりもなおさず科学オリンピックのお蔭です。これからはより多くの中高生が科学オリンピックに参加し、有意義な時間を過ごせるように微力ながら貢献させていただきたいと思います。
(掲載:初中教育ニュース(初等中等教育局メールマガジン)第157号 2010.12.24)