JBO本選出場者インタビュー:前田智大さん

※所属・学年は、2022年1月の取材日現在のものです

前田智大さん
所属:
株式会社Mined 代表取締役
出身:
灘高等学校、Massachusetts Institute of Technology Electrical Engineering
出場:
JBO2010 つくばJBO2011 広島IBO2012 シンガポール

Q:今は何をしていますか?

今は起業家で、スコラボという子供向けのオンラインのライブ授業のマーケットプレイスを作っています。今のいわゆるプラットフォーム授業が始まったのは2020年の8月なので、大体半年前からになります。
教育自体には昔から関心はありましたが、24歳ごろまでは研究者になろうと思っていましたが、修士の一年が終わった頃に、もう少し実社会と結びついた領域でインパクトを多くすることをしたいということで、起業家になろうと決めました。
もちろん研究が実社会に結びついてない訳ではありませんが、社会実装へのサイクルに時間がかかるので、自分の性格からすると起業家の方が向いてるなと思い、起業家へと考え方が変わりました。

Q:JBOをどうやって知りましたか?

中学3年の頃、学校にあったポスターで知りました。生物の先生も興味があれば出たら良いのではないかと話しており、中3の夏と高1の夏に応募して本選にも参加しました。

Q:JBO本選の成績はどうでしたか?

中3のときは銅賞、高1は金賞で、その年度の選抜試験で選ばれて日本代表となり、翌年のIBOシンガポール大会に出場しました。

Q:IBOでのエピソードを教えてください

妻と出会いました。彼女はウクライナからの代表でIBOに来ていて、大学3年生のころにアメリカで近くの大学同士になって。ということで、何から何まで生物学オリンピックのお世話になってるっていう感じです。笑

Q:どんな勉強をいつからしましたか?

中3のときは生物オリンピックの存在を知ってからキャンベル生物学を一周読みました。結構重かったんですけど(笑)頑張って読んで臨みました。
あとは通学時間が電車で毎日大体3時間半ほどあったので「利己的な遺伝子」であったりとか生物系の有名なポピュラーサイエンス系の本は多く読んでました。
量としてはジャンル問わず読んでいたので、恐らく年間に7,80冊ぐらい読んでいて、その4分の1ぐらいがおそらく生物系の本だったなので、20冊ほどだったと思います。
学校の教科書は本当に開けたことがないぐらいで、過去問は試験前に多少解いたぐらいなんですけれども、当時はそんなに過去問が公開されていなかったので、2年分も解いたらもう何もやることない状態でした。
実は中3の本線が終わってから高1の間までは全くまた生物の勉強をしていなかったのですが、あの本は読み続けていたので、そこで色々バックグラウンドの知識がついたのと、論理の部分が強くなったので、生物学オリンピックに必要な力はめちゃくちゃ鍛えられたと思います。

Q:周りにもJBO受験者はいましたか?

私の学年にはいませんでした。1個上の先輩にはいましたが、生物部でもなかったのでその先輩との関わりはなく、一人で黙々とキャンベル生物学を読んで勉強するというスタイルでした。

Q:受験勉強との両立はどうしましたか?

そもそも中高一貫で、生物学オリンピックへの参加も中3から始まってIBOが高2の夏だったので受験勉強と重なる時期はありませんでした。そのため両立をする必要がなかったというか、受験勉強で忙しくなる前に生物学オリンピックが終わったっていう形でした。

Q:大学受験(筆記試験)に役立ちましたか?

日本では東大を受けたんですけれども、東大の受験勉強と生物学オリンピックの受験勉強はかなり相性がいいなと思います。
生物オリンピックの勉強をやっていれば東大の生物でも似た系統の問題が出るので、生物で東大受験するんだったら生物学オリンピックに参加して遠回りになることは無いと思います。

Q:大学進学(推薦入試、AOなど)に役立ちましたか?

海外の大学への受験はAO的な要素が多いので、その中ではIBOでの銀メダルは一番強い武器となりました。例えばMITだと国際生物学オリンピックに出ていると一つの秀でた実績として認められるので、かなり大きな武器というか一本の軸としてアピールしやすいものができたと思っています。

Q:大学受験に役立ちましたか?

めちゃくちゃ役だったと思うというか、基本的に生物学オリンピックの勉強をしていると東大とかの試験では、生物は何も対策しなくてもスラスラ解けるようにはなりました。
生物学オリンピックの勉強を通じて根本的な思考力が鍛えられているのと思うので、間接的な効果もあると思っていて、細かい覚える部分であったりとか、実際に問題を解く部分では化学は半分ぐらい良い影響を感じた一方で数学とかちょっと遠いように感じました。

Q:JBOに挑戦して良かったことは何ですか?

生物を楽しんで学んでいる人達と出会えたことが一番大きいことだと思っていて、同世代で本当に楽しそうに生物について好奇心をフルに発揮して学んで、色々な疑問を研究者に当てるような子達を見ると、自分もまだまだだなと感じることが多かったです。
同世代だけでなく、実際にライフワークとして研究者の方々、JBOの先生方と会うとピュアに学問を楽しんでるんだなっていうのを感じられたので、学校で学ぶ「これとこれとこれで覚えろ」みたいなものとしてではなく、ピュアに「これを知りたい」と思って楽しんで学んでいる方々と出会えたのが一番大きなことだと思っています。

Q:現役挑戦者へのエール!

楽しむことが一番だと思います。私自身も楽しむことが生物学オリンピックで成功する一番のコツだと思っているので、あまり試験とかで身構えずに、目の前にある現象や知識に対して不思議に感じる気持ちを忘れずに、楽しみながら生物学オリンピックに挑んでいただければと思います。

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